星ひろい

2 : 川沿いの谷間

 僕等が谷間にたどり着いた頃には、日はとっぷり暮れていた。この方がいいよ、と猫のミレニアムが言った。星が光った時によく見えるのさ。と彼は言った。僕が、こんな鼻をつままれても分からない闇の中じゃ歩けやしないよ、と言い返すと、彼は、まだ眼が慣れないのさ、人間の眼は暗闇に慣れないからね、と言った。彼の助言に従ってしばらくじっと待つと、次第にものの形が分かるようになってきた。

 左右に山がそびえ、その間を川が流れている。川の幅はそれほど広くなく、また、場所を選べば渡れる程度の深さだ。今は川を渡るのは危ないよ、暗いから、とミレニアムが言った。彼は水に足を付けないよう用心して、川岸からずいぶん離れたトコロを歩いている。上流へ行こうか? それとも下流へ? ミレニアムが僕に尋ねた。