僕らは湖の岸辺を歩いた。
ボートに乗らずにすんだミレニアムは安心したように鼻歌を歌っている。彼は水が嫌いなのだ。僕はぼんやりと湖水を眺めながら、岸辺を歩いていた。
突然、湖の中央から光の柱が立ち上った。僕らはびっくりして息をひそめてそれを見守った。柱は光の強さを増し、その中を小さな星がいくつも上り下りしているのが分かる。僕らはそっと水辺に近づいて、湖をのぞき込んだ。
光の柱に照らされて、水の底にある街が見えた。いくつもの星がそこで暮らしていた。彼らは幸せそうに笑いさざめいている。
しばらくして光の柱が消えたあとも、僕らはじっと水の中を見つめていた。
「きっと、秘密の街なんだね」
ミレニアムが言った。僕もうなずいた。
「ねえ、これは僕らだけの、秘密にしておこう」