僕らは上流を目指すことにした。
川は次第に幅が細くなり、それに合わせて谷間の幅も狭くなってきた。水が嫌いなミレニアムのために、僕はしばしば大幅に道を迂回していかなければならなかった。
そのうちに、僕らは小さな無人の山小屋にたどり着いた。ここで一休みしよう、とミレニアムが言って、僕らは中に入った。
僕らは川の水を使ってお湯を沸かし、紅茶を入れた。ミレニアムは、紅茶の香りが好きだ。鼻をぴくぴくさせながら、目を閉じ、尻尾をぱたぱたと動かしている。僕は窓際に机を動かし、椅子に腰掛けた。遠くに街の灯が見下ろせる。色とりどりの、美しい光が輝いている。
僕は遠くの灯を見て、このまま、別に星が見つからなくてもいいな、と思い始めた。
「帰ろうか、ミレニアム」
僕がそう言うと、ミレニアムは薄目を開けて僕に言った。
「もう少しだけ、ゆっくりしていこうよ」
僕はうなずいて、街の灯を眺めていた。