星ひろい

4 : 川沿いの谷間

 僕らは下流を目指した。

 ミレニアムは僕の足下をてくてくと歩いていく。川幅が次第に広くなって、対岸が遠く闇の中に消えていった。ずいぶん広くなってきたね、とミレニアムが言った。だけど、これって、こんなに広い川だったかい? 彼が不思議そうに聞いて、僕が答えようとした時。

 上流の方から、かすかな音が響いてきた。

 トライアングルのような音が、かすかに、遠くから。幾千という、きらきらした音が、リンリンと響いてくる。それはまるで羽音のように、きらびやかな響きだ。

 光の群れが、川の上を渡っていくのを、僕は確かに見た。それは、きらびやかな音をたてながら、僕らの目の前を通り過ぎ、海へ、水平線へ、そしてその先にある宙へと帰っていった。

 気付くと、光の群れは通り過ぎていた。川はもとどおりの幅で、さほど広くもない。ミレニアムが、言った。

「あんなにたくさん。手が届かなかったのが残念だね」

僕は答えた。

「だけど、それだから素敵だったのじゃないかな」

おしまい